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ジョゼと虎と魚たち(2003年)

  • posted at:2020-10-08
  • written by:砂月(すなつき)
じょぜととらとさかなたち
ジョゼと虎と魚たち・フィルムパートナーズ(アスミック・エース エンタテインメント=IMJ エンタテインメント=関西テレビ放送=エス・エス・エム=博報堂)
配給:アスミック・エース
製作年:2003年
公開日:2003年12月13日
監督:犬童一心
エグゼクティブ・プロデューサー:椎名保 三木裕明
共同エグゼクティブ・プロデューサー:山崎一彦 泉正隆 安永義郎
共同プロデューサー:井上文雄
プロデューサー:久保田修 小川真司
原作:田辺聖子
脚本:渡辺あや
撮影:蔦井孝洋
照明:疋田ヨシタケ
録音:志満順一
美術:斎藤岩男
整音:浦田和治
編集:上野聡一
イメージフォト:左内正史
イメージイラスト:D[di:]
スタイリスト:伊賀大介
音楽:くるり
主題歌:「ハイウェイ」くるり
助監督:五十嵐昭徳
製作担当:鎌田賢一
装飾:西渕浩祐
音響効果:岡瀬晶彦
キャスティング:杉野剛
スクリプター:甲斐哲子
出演:妻夫木聡 池脇千鶴 上野樹里 新井浩文 江口徳子
アメリカンビスタ カラー 116分

深夜のマージャン店でアルバイトをする大学生の恒夫。彼はある夜、客たちから奇妙な噂を聞いた。10年くらい前から明け方になると謎の老婆がボロボロの乳母車を押しながらトボトボと歩いているらしい。乗っているのは孫のミイラか、札束か、それともヤクか。だがその姿を見た者は皆無だというのだ。明け方になり店で飼っている犬の散歩に出掛けた恒夫は、坂を下ってくる乳母車に遭遇した。ガードレールにぶつかって止まると、その後をヨタヨタと追いかけてきた老婆は恒夫に中を見て欲しいと言った。呆気に取られた恒夫が恐る恐る毛布をめくると、そこには少女がいた。すると彼女は突然包丁を振り回して斬り掛かってきたのだ。危うく難を逃れた恒夫はお詫びとして家に招待され朝食をごちそうになった。乳母車の少女は生まれつき病気で歩けず、物心ついたときから外に出たいといい出したことから、世間体を気にした祖母は人目につかないような夜明け間もない時間を選んで散歩させていたのだ。食卓に並んだのはご飯に味噌汁という一般的なもので、特に少女が焼いた厚焼き玉子はとてもおいしかった。

数日後、マージャン店で若い男が大声で話していたが、恒夫は会話の内容が気になった。その男は乳母車の中身が知りたくて老婆を待ち伏せをしたのだが、彼女が寸前に手を離したために中を確認することが出来なかったのだという。マージャンで借金が嵩む彼は金目の物が入っていると信じて込んでおり、次に本気で襲ってきた場合に少女が危険にさらされるのではないかと考えた。そこで恒夫は仕事を終えるとスクーターを飛ばして少女の家に向かうが返事はない。心配になった彼が台所の方へ回ると窓越しに朝食の支度をする彼女の姿が見えた。その頬には絆創膏が貼ってあり、話を聞くとどうも男に襲われたらしい。だがそれは若い男ではなく太ったチビのおっさんで、少女が振り回した包丁が何処かに当たり血を流しながら慌てて逃げて行ったというのだ。恒夫は散歩を止めさせようと助言するが、花や猫などを見なければならないから嫌だと少女は反対した。それ以降、何かと理由をつけては少女の家に通い食事を一緒にした。ある日、ふと名前が気になり尋ねると、少女はジョゼと名乗った。祖母はくみ子と呼んでいることを知っていたが恒夫は彼女をその名前で呼ぶことにした。ジョゼの部屋には祖母が近所のゴミ捨て場から拾ってきた本が堆く積まれており、そこから様々な知識を得ていた。中でもフランソワーズ・サガンの「一年ののち」がお気に入りで、恒夫がその本を手に取ると普段は素っ気ない彼女が続編を読みたいと熱望した。だがそれは既に絶版となっていた。

屋台的映画館
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