東宝
配給:東宝
製作年:1965年
公開日:1965年5月29日 併映「姿三四郎」
監督:古澤憲吾
製作:渡辺晋 森田信
脚本:笠原良三
撮影:斎藤孝雄
美術:小川一男
録音:増尾鼎
照明:森弘充
音楽:宮川泰 萩原哲晶
整音:下永尚
監督助手:丸輝夫
編集:黒岩義民
現像:東洋現像所
協賛:株式会社梁瀬
製作担当者:堤博康
出演:植木等 浜美枝 中尾ミエ 東野英治郎 進藤英太郎
シネマスコープ カラー 95分
大学を卒業し無事就職も決まった中等はうれしい報告をするために実家に戻った。助産婦と保健婦として働く母の節子は彼の背広姿を見るなり中々かっこいいじゃないかと褒めちぎり、定年後から台所を仕切る父・一郎は今日はうんとご馳走してやるかと張り切った。一郎からすり鉢を手渡された等は、出世前の男がゴマをするのかと不平を口にした。これからの世の中はサービス時代だとの一郎の言葉に首を捻りながら等がゴマをすり始めると、その手際の良さに感心した一郎は社会に出てもその要領を忘れてはいけないと説いた。万年係長のまま定年を迎えた一郎は、「世渡りの知恵が出世の近道」という言葉を肝に銘じさせることで自分の成し遂げられなかった栄冠を息子に勝ち取ってもらおうと考えていたのだ。だが等は、現代が実力本位の時代で実力とファイトさえあれば絶対に認められるという持論を曲げようとはしなかった。
出社初日、後藤又自動車の本社ビル前に立った等は看板を眺めて「よかろう!」と気合を入れた。まだ誰も出社していないショールームに入った彼はこれから売ることになる車の研究を始め、ここにある車が全て自分の物だと思って惚れ込めば客にも自信を持って売ることが出来ると考えたのだ。すると電話のベルが鳴り張り切って受話器を取ると田園調布に住む中村という顧客からだった。一昨日、セールスが午前9時までにビュイック・スカイラークを見せに行くと約束したのだが未だに何の連絡もないのだという。現在8時40分。等は相手が指定する場所に急いで向かった。ゴルフバックを持った中村を見つけた等は早速、車の説明に入ったが、君の会社は客に対して不親切だとお冠だった。そして続けざまにゴルフ場へ向かうように命じ、理由がわからない等は素直に指示に従った。その頃、等の会社では大騒動になっていた。中村の担当だった細川眉子が車がないことに気づき、営業課長は朝礼前なので仮ナンバーを貸し出していないと言った。眉子は急いで警察に盗難の届け出をした。そうとは知らない等はナンバープレートのない車で中村をゴルフ場に送り届けると、お支払いはどうしますかと尋ねた。すると中村は、試乗しただけだから帰ってよろしいと背を向けた。冷やかしのただ乗りだとわかったが、これも宣伝のうちだと自分の言い聞かせて会社に戻ることにした。首都高を軽快に疾走するビュイック。すると追い抜かれたことが気に食わないフォルクスワーゲン・カルマンギアタイプ3の運転手は抜き返そうとムキになって追い掛け、そこに取り締まり中のパトカーも加わって追跡合戦が始まった。そうとは知らない等が会社にハンドルを切ると、後ろの二台もついてきたため首を傾げたのだった。警官が彼を呼び止めると、事務所からも課長たちが飛び出してきて「その自動車泥棒を捕まえてください」と叫んだ。それを聞いた等は、盗んだという車はちゃんとあるしお客様の催促に対し社員として伺うのは当たり前だと言った。そこで初めて彼が新入社員だと知った課長は心底呆れた。事件は解決をしたのでお引き取りくださいと等は警官に言うと、ナンバーなしで公道を走ったのだから道路交通法違反で始末書の提出が必要だと言われた。そこに割って入ったカルマンギアの男がビュイックを売って欲しいと言ったため、等は面倒な契約交渉も始末書の提出も眉子に押し付けたのだった。
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