松竹
配給:松竹
製作年:1977年
公開日:1977年6月18日
監督:加藤泰
製作:白木慶二
原作:江戸川乱歩
脚本:加藤泰 仲倉重郎
撮影:丸山恵司
音楽:鏑木創
美術:梅田千代夫
録音:小林英男
調音:小尾幸魚
照明:三浦礼
編集:大沢しづ
スチール:金田正
監督助手:増田彬
装置:石渡敬之助
装飾:印南昇
衣裳:松竹衣裳
かつら:八木かづら店
現像:東洋現像所
進行:大川修
製作主任:池田義徳
前衛劇・構成:星野和彦
前衛劇・振付:横井茂
協力:株式会社山京 パレフランスクチュール プチパレ 梶くみひも
挿入画:林静一
監督補:三村晴彦
出演:あおい輝彦 香山美子 倍賞美津子 加賀まりこ 川津祐介
アメリカンビスタ カラー 118分
本格派探偵小説のセオリーに従って新作を発表し続ける作家の寒川光一郎は自身の小説が舞台化や映画化をされる程の人気だった。長編小説「湖畔亭殺人事件」がお盆の超特作として映画化されることになり、寒川はクライマックスの撮影の見学と主演女優の宮島すみ子との対談を行うために京都の撮影所へ向かった。この関西旅行には旧知の仲である博文館外交記者の本田達雄と若い女性の写真記者が同行した。仕事を終え東京に戻った彼は古書店で版画を購入したが、店を出たところで女とぶつかった。寒川は美しいその女のことを覚えていた。以前、上野の帝室博物館ですれ違った際に、うなじに特徴のある赤いミミズ腫れが見えたからだ。拾い上げようとした本が湖畔亭殺人事件だとわかると興味を持った寒川は話し掛けてみた。すると彼女が寒川の大ファンであり全ての作品を読んでいることを知って上機嫌になった。その女は小山田静子といい、夫は合資会社碌々商会の出資社員で実業家の小山田六郎だった。カフェには和やかな空気が漂っていたが、静子が大江春泥の名を出した途端に一変した。大江は四年前に変革派と称して探偵小説界に突然現れたが、その正体は謎だった。読者に媚びていると感じる作風は探偵小説とは言えないと毛嫌いしていたのだ。大江の居場所を知りたかったばかりに寒川の機嫌を損ねたことを静子は詫び、また会う約束をして別れた。
原稿の締め切りに追われる寒川は本田に捕まり山の上ホテルで缶詰めになった。ストーリーのアイデアが出ずに四苦八苦していると、本田は下宿から預かってきた郵便物を渡した。その中に静子からの手紙があることがわかると早速読み始めたが、そこには相談事があるから会いたいと書いてあった。時を同じくして下宿から静子がきていると電話が掛かり、居ても立っても居られない寒川は本田の制止を振り切ってホテルを飛び出したのだった。静子の相談とは郵送で届いた全て消印が違う三通の封書だった。その内容が脅迫であり差出人が大江春泥であること寒川は驚いた。大江の本名は平田一郎といい、静子が十八歳の女学生のときに二人は好き合っていた。だが大学生は恐ろしい程の真剣さだったのに対し静子の方はロマンチックな憧れだったことで怖くなった。丁度その頃、父親が商売に失敗し一家で彦根へ引っ越したが、平田の執念から逃れることが出来てホッとしていた。父母を亡くした彼女の前に現れたのが小山田だったが、静子は結婚の際に男は知らないと今の今まで隠し通してきたのだった。そして復讐してやるという脅迫状が次々と届くようになり困った挙句、寒川に相談することに決めたのだった。一通りの話を聞いた寒川は、原稿を書き終えたら必ず捕まえてとっちめてやると約束した。
屋台的映画館
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