松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1971年
公開日:1971年4月28日 併映「花も実もある為五郎」
監督:山田洋次
製作:斎藤次男
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
美術:佐藤公信
撮影:高羽哲夫
照明:内田喜夫
編集:石井巌
録音:中村寛
調音:小尾幸魚
音楽:山本直純
監督助手:今関健一
装置:小野里良
装飾:町田武
進行:長島勇治
衣裳:東京衣裳
製作主任:池田義徳
現像:東京現像所
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 榊原るみ 光本幸子 ミヤコ蝶々
シネマスコープ カラー 92分
雪深き春、集団就職で上京する学生と別れを惜しむ家族の姿を越後広瀬駅で見た車寅次郎は故郷が恋しくなった。その頃、葛飾柴又にある団子屋「とらや」の前に一台のハイヤーが停まった。降りてきたのは寅次郎の生みの親であるお菊だった。彼女が店を訪れるのは30年ぶりで、久しぶりに再会した竜造やつねは時の流れを感じた。お菊が突然きたのには理由があった。一年程前に寅次郎から届いた手紙には、近々嫁をもらうからいつでも遊びにきてくれと書いてあった。そこで一度その嫁の顔を見てみたいと思い、雑用を片付けてはるばる京都からやってきたのだ。さくらを嫁、満男を孫と勘違いする自らの騒動を笑い飛ばしたお菊はふと我に返り、嫁は一体何処にいるのかと尋ねた。竜造がこれまでの流れをさくらに説明すると、寅次郎が所帯を持とうとしたのが誰だったのか皆で考え始めた。だがその一年程の間にいろいろありすぎて結論は出ず、相も変わらず独身だと説明すると、お菊はそうですかとため息をついた。
お菊がハイヤーでホテルに戻ると、それと入れ替わるように寅次郎が機嫌よく帰ってきた。だが竜造の迎え方が気に食わないと怒り出し、もう二度と帰ってくるもんかと啖呵を切った。さくらが慌てて引き留めお菊がきていることを伝えたが、捨てた人を親と呼ぶことは出来ないと寅次郎は言った。そしてもう自分に帰るところはないと捨てゼリフを残して出て行こうとしたが、偶然幼馴染の冬子が通り掛かったことでいいところを見せようと態度を翻したのだった。その変わりように皆呆れ返ったが、これで寅次郎がお菊に会うものだと安心した。ところが彼の気持ちは凝り固まったままだったため竜造たちは何とかしようと説得を試みた。数日後、さくらは嫌がる寅次郎を夫・諏訪博が運転する車に無理矢理乗せてホテルに向かった。部屋に着くと寅次郎はトイレに直行し、その間にお菊は二年前にあったことをさくらに話した。そのときは落ち着いて話すことが出来なかったため、機会を作って東京にきたのだ。だが寅次郎はあれから一向に変わっておらず、むしろ拍車が掛かった馬鹿さ加減にお菊は頭を痛めた。思わずお前のところへくる嫁は例えどんな女であってもきてくれるだけでありがたいと思えと言ったが、それを聞いて怒ったのは寧ろさくらの方だった。お菊は自分が産んだ息子のせいで苦労を掛けるさくらを不憫に思い涙を流した。その日、とらやに戻った寅次郎は嫁探しに行ってくるとだけ竜造に伝えて出て行った。
屋台的映画館
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