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男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく

  • posted at:2021-04-23
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうわがみちをゆく
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1978年
公開日:1978年8月5日 併映「俺は田舎のプレスリー」 監督:山田洋次
製作:島津清
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
SKD振付:新井重美 松見登 花柳瀧蔵 藤間貴与志 西崎真由美 篠井世津子
SKD装置:三林亮太郎 三輪祐輔
SKD衣裳:所治海 川路龍子
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 木の実ナナ 下條正巳 三崎千恵子
アメリカンビスタ カラー 103分

暦は五月となり、柴又題経寺では松竹歌劇団を前に御前様や寺男の源公が忙しく動き回っていた。境内ではもうすぐ国際劇場で始まる毎年恒例の「東京踊り」の大入祈願が行われようとしていた。自転車で傍を通り掛かった諏訪さくらはその様子を見て幼い頃に憧れた記憶を懐かしんだ。団子屋・とらやに向かうと叔父の竜造は調子が良さそうで安心した。昨夜、突然具合が悪くなり叔母のつねから電話が掛かったときはどうなることかと心配した。だが一夜明けると何事もなかったようにピンピンしていたのだ。竜造によると、もうダメかと思った瞬間に四角い寅次郎の顔が目の前に浮かび、しっかりしないといけないと考えた途端に元へ戻ったのだという。そんな話をしていると祈願を終えたSKDの一団が通り過ぎた。そしてその後ろを金魚のフンのようについて行ったのは寅次郎だった。その情けない姿を見た竜造は頭を抱えた。

その夜、寅次郎は竜造が病気をだったのを知らなかったことを反省し見舞金を手渡した。この予想外の出来事に驚いた竜造は涙ぐみ、全快祝いにきた博や印刷会社社長の梅太郎も感動した。不景気のあおりでとらやの経営が大変なことが竜造の病気の一因でもあることを知ると、自分も商売人の端くれだからそんなことはわかると寅次郎は言った。もしものときは頼むよとつねから言われた彼は、将来この店をどのようにして行くか語った。攻めの経営で新聞広告を入れ、月に一度の値引きセールでとらやの名を広める。そうやって客が増やせば当然店は手狭になる。そこで思い切って店を鉄筋コンクリートのビルを建設し、一階には店、二階には座敷、三階を老夫婦の隠居にする。その頃には裏に印刷工場が潰れているはずだから労働者ごと買い取り団子工場でオートメーション化する。浴衣を着た若い͡看板娘に接客させれば、全国にとらやチェーンがズラリと並ぶはずだ、と。その話を聞いた竜造は呆れ果て、つねはガックリと肩を落とした。博とさくらは聞かなかった聞かなかったことにし、その態度に怒った寅次郎は帰ろうとする梅太郎にてめえは食い逃げかと暴言を吐いた。それがきっかけとなって騒動が始まり、寅次郎は店を出て行った。

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男はつらいよ 寅次郎頑張れ!

  • posted at:2021-04-11
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうがんばれ
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1977年
公開日:1977年12月29日 併映「ワニと鸚鵡とおっとせい」
監督:山田洋次
製作:島津清
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 藤村志保 大竹しのぶ 下條正巳
アメリカンビスタ カラー 95分

葛飾柴又の団子屋とらやにぶっきらぼうだが気立てのいい青年が下宿していた。電気工事の会社で働く島田良介というその青年は博が住むアパートの裏に住んでおり、彼の息子の満男をとても可愛がっていた。そんな縁もあって博は竜造に次のアパートが見つかるまで預かって欲しいと頼み込んだのだった。そうとは知らずにふらりと帰ってきた車寅次郎は良介から押し売りと間違えられて憤慨した。その夜に開かれた家族会議で、寅次郎はそんなにお前たちがあの男を気に入っているんだったら養子にでもして俺が代わりに出て行くと拗ねた。ところが事情を察した良介は荷物をまとめ家賃を置いて出て行ったのだった。

泊めてくれる友人が帰るまで良介がパチンコ屋で時間を潰していると、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。反省をしていたところにやってきた印刷会社社長・桂梅太郎のひと言に腹を立てた寅次郎はむしゃくしゃした気持ちを解消するためにパチンコをしにやってきたのだ。ところが玉は穴に吸い込まれるばかりで、面白くも何ともありゃしねえなと嘆いた。そんな彼を見兼ねた良介は自分の玉を差し出し、この釘を目掛けて打てばいいアドバイスした。すると何度もチューリップが開き寅次郎は上機嫌になった。意気投合して飲み屋を梯子したことで寅次郎は泥酔し、良介は彼をとらやに送り届けて去ろうとした。すると寅次郎は俺が許すからずっとここにいろと言った。

翌日、昼頃に起きたことで竜造やつねから小言を言われた寅次郎はふるさと亭という近所の食堂で朝食をとることにした。その店では元気のいい福村幸子という若い娘が働いており、ちょうど良介がきていたことからいい娘だなと言った。良介は素っ気ない返事をしたが、その割には幸子のことを詳しく知っているため、寅次郎は良介が彼女に惚れていることに感づいたのだった。何とか二人をくっつけたい寅次郎は、翌日団子を買いにきた幸子を良介に家まで送らせた。そして次の日曜日にデートする約束をしたことを聞くと益々調子に乗るのだった。

屋台的映画館

男はつらいよ 寅次郎と殿様

  • posted at:2021-04-02
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうととのさま
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1977年
公開日:1977年8月6日 併映「坊ちゃん」
監督:山田洋次
製作:島津清
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
殺陣:足立怜二郎
製作主任:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 真野響子 下條正巳 三崎千恵子
アメリカンビスタ カラー 99分

端午の節句が近づき故郷が恋しくなった車寅次郎は甥の満男のために小さな鯉のぼりを買って帰ってきた。ところがとらやの庭には大きな鯉のぼりが泳いでおり、それがわかるとへそを曲げることが目に見えていることから一家総出で隠そうとした。さくらたちが気を引きつけているうちに博が片付けようとしたのだが、とうとう見つかってしまった。がっかりした寅次郎は二階にある自分の部屋で休むことにした。ところが騒動はこれで終わらなかった。源公が犬を拾ってきたが、何故かとらやにばかりくるようになった。彼は親しみを込めて「トラ」と名付けたのだが、つねは寅次郎が帰ってきたらきっと怒るに違いないから「ポチ」にしようと提案した。ところがどうしても「トラ」という名前が思わず口から出てしまい、また寅次郎を怒らせることになってしまった。犬扱いされたと思い込んで腹を立てる彼に、それが悔しかったらもっと尊敬される人間になれと竜造は言った。そしてフラフラしているお前は野良犬同然だと言われショックを受けた寅次郎は店を出て行った。

四国八十八か所参りをするお遍路さんたちと同じ船に乗り合わせた寅次郎は伊予大洲の港で降りた。祭りでの商売を終え伊洲屋旅館に泊まった彼は暇を持て余し、女将と顔馴染みということもあって手伝いのようなことをしていた。彼は客の中に一人で泊まる若い女性がいることが気になった。その場合、訳ありである可能性が高いからだ。そこで夕食時に鮎の塩焼きをお裾分けした。お礼にきた彼女と短い会話を交わし、東京の堀切に住んでいることがわかると機会があったら帝釈天の近くにあるとらやに寅次郎から聞いたと言って寄りなさいと言った。

翌日、旅立つ女性に鮎の佃煮の手土産を持たせた寅次郎だったが、気風の良さとは正反対に財布の中はスッカラカンだった。高台のベンチで支払いをどうしようかと悩んでいると、なけなしの五百円札が風に吹かれて飛んで行った。慌てて追い掛けて行くと、天から降ってきたというその札を持った老人を出会った。寅次郎は礼を言い近くの売店でラムネを奢ったが、何故かその老人は時代劇口調だった。それはまるで殿様のようだった。

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大奥浮世風呂

  • posted at:2021-03-26
  • written by:砂月(すなつき)
おおおくうきよぶろ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年2月11日 併映「激殺!邪道拳」
監督:関本郁夫
企画:佐藤雅夫 上坂久和
脚本:田中陽造
撮影:塚越堅二
照明:若木得二
録音:格畑学
美術:森田和雄
編集:荒木健夫
音楽:青山八郎
助監督:平野勝司
記録:森村幸子
装置:三浦公久
装飾:柴田澄臣
背景:西村和比古
結髪:白鳥里子
美粧:田中利男
スチール:中山健司
演技事務:葛原隆康
衣裳:高安彦司
擬斗:菅原俊夫
進行主任:俵坂孝宏
出演:松田英子 渡辺とく子 ひろみ麻耶 風戸祐介 岩尾正隆
アメリカンビスタ カラー 82分

夜這いで武士の女房の相手をし小遣い稼ぎをする全次郎。男の武器を最大限に活かして勤めに励む彼だったが、ある夜御人払いをして誰もいないはずの屋敷に亭主が突然帰ってきた。縮み上がる程に驚いた全次郎は血相を変えて追い掛けてくるその亭主の刃から何とか逃れ、目の前にある屋敷の塀を乗り越えたのだ。そこは徳川三代様御部屋様の菩提所の寿命院だった。そうとは知らずに部屋に入ると、住職の法行が若くて美しい顔立ちの法円の体を求めていた。そこで彼は機転を利かし、目の前の出来事を口外しないことを条件にして坊主に成り済ますことにしたのだった。翌朝、人目を避けるために駕篭で仲間の住処に戻った全次郎は稼いだ金で買い込んだ酒や食べ物、そして女を盛大に振る舞った。この気風の良さに恋人のおこよは惚れ直すだろうと考えていたが当ては外れた。野望を抱く彼女は全次郎が小遣い稼ぎをしている間に二千石の旗本山岡に見初められ、そこの養女として大奥に仕えることになったのだった。おこよが手の届かないところへ行ったことで全次郎は男泣きした。

御手付中臈の粂村は将軍徳川家綱が新しい中臈の初瀬に溺れていることに怒り心頭だった。愛情が床上手な初瀬の方へ移ったことに嫉妬していたのだ。そこで彼女は御末の中から体つきが良く将来それに成り代わるような者を見つけ出そうとした。するとおこよは待ってましたとばかりに着物を脱いで白い肌を見せたのだ。粂村はそこを気に入り部屋子に指名した。

隙を見ては体を求めてくる法行を疎ましく思う法円に、寺に入り浸る全次郎はそんなに嫌なら殺しちまいなと言った。だがその気はあるものの決心を渋るため、全次郎が成り代わって息の根を止めることにした。深夜を狙って寝所に忍び込み濡れた紙で口を塞ごうとしたのだが、既のところで失敗した。ところが突然の地震で倒れた観音像に挟まれ法行は御陀仏となった。ある日、新しい寿命院の住職となった法円のもとに粂村が訪ねてきた。初瀬が身篭ったことで、その子供を呪い殺して欲しいと法円に頼みにきたのだ。だが彼には法行の様な力がないため、全次郎がその役を買って出ることにした。粂村御用達の荷箱に潜んで大奥に入った彼は、毒蛇を従えて初瀬専用の厠の下に身を隠した。悪臭に耐え忍び待つことしばらく、ついにそのときがやってきた。ところが見上げた先の美しい花弁に思わず見惚れ機会を逸したのだった。

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男はつらいよ 寅次郎純情詩集

  • posted at:2021-03-23
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうじゅんじょうししゅう
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1976年
公開日:1976年12月25日 併映「おとうと」
監督:山田洋次
製作:名島徹
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:スバルの富士重工 長野県上田市 別所温泉観光協会 柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 檀ふみ 下條正巳 三崎千恵子
アメリカンビスタ カラー 104分

すっかり秋めいてきた葛飾柴又。題経寺の門前にある団子屋のとらやは朝からそわそわしていた。その日はさくらの一人息子・満男の家庭訪問の日だが、アパートは片づいていないためとらやの方にきて欲しいとお願いしたのだった。満男の担任の先生は産休中で臨時の柳生雅子先生がくることになっていたが、若くて美人という噂だった。寅次郎が帰ってきたら大変なことになるぞと油を売っていた朝日印刷所社長の桂梅太郎が軽口を叩いていると、その寅次郎が本当に帰ってきたのだった。竜造たちが慌てふためく中、梅太郎は機転を利かせて追っ払おうとした。ところがやりとりをする前に雅子が到着したのだった。彼女に一目惚れした寅次郎はいいところを見せようと出しゃばり、博やさくらがいるのをそっちのけでしゃべりまくった。おまけに雅子を家まで送って行く始末。肝心の満男の相談が出来なかったことで博は肩を落とした。その夜、反省を促すために博たちが待ち構えていると気まずそうにする寅次郎が帰ってきた。さくらが口火を切り大事な話が何一つ出来なかったことを説明すると、寅次郎はお前たちが口下手だから成り代わって教育論を語ったんだと言った。それを聞いた博が思わず何が教育だと漏らしたことがきっかけで大ゲンカとなり寅次郎は出て行った。

寅次郎が別所温泉を旅していると、今夜千秋楽を迎える坂東鶴八郎一座が通りでビラ配りをしているのを見つけた。そこに声を掛けてきたのは、数年前に甲州を旅した際に出会った花形女優の大空小百合だった。彼女は寅次郎のことを先生と呼んで慕っており、再会を喜ぶと芝居を観にきて欲しいとお願いした。その夜、約束通りに芝居小屋へ足を運んだ寅次郎は、芝居終わりにゲストとして紹介されたことで気が大きくなり宴席を開いた。座長の鶴八郎たちが恐縮する中、固い挨拶は抜きにしてと寅次郎が場を盛り上げて夜は更けて行った。翌朝、旅館の窓から一座のトラックを見送った寅次郎は、女中が請求書を持ってくると話があるから主人を呼んで欲しいと言った。

別所警察署からの電話で寅次郎が無銭飲食をしたという連絡を受けたさくらは急遽兄を迎えに行くことになった。警察署に着くと、渡辺巡査は先方が金さえ払ってくれればそれでいいと言ったことで事件にしないと判断したと説明した。そこに付き添いの警官とともに現れたのはひとっ風呂浴びてさっぱりした寅次郎だった。さくらは反省の色を見せない兄に腹を立て、とらやでは竜造たちが寅次郎をどう迎えようかと頭を悩ませていた。

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