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喜劇 一発勝負

  • posted at:2020-09-11
  • written by:砂月(すなつき)
きげきいっぱつしょうぶ
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1967年
公開日:1967年8月5日 併映「なにはなくとも 全員集合!!」
監督:山田洋次
製作:脇田茂
脚本:山田洋次 宮崎晃
美術:佐藤公信
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
編集:石井巌
録音:小尾幸魚
調音:松本隆司
音楽:山本直純
監督助手:大嶺俊順
装置:中村文吾
進行:萩原辰雄
製作主任:沼尾鈞
現像:東洋現像所
協力:東京サマーランド
協賛:栃木市 小山市
出演:ハナ肇 倍賞千恵子 谷啓 犬塚弘 桜井センリ
シネマスコープ カラー 90分

八代続く旅館二宮荘。この家の長男である二宮孝吉は親不孝ばかりしている。学生の時分に女を囲い、そのことが発覚して父・忠は教育委員を辞めた。その夜、大喧嘩の末に孝吉は家を飛び出し、忠はそんな息子を勘当した。それから一年後、あの痛ましい記憶が忘れられようとしていた頃に女が訪ねてきた。忠はあなたが何処の何方か存じませんが倅のことは一切負いかねますと言って追い返そうとしたが、表で赤子の声が聞こえておやっと思った。女が連れてきていたのは孝吉の子で、話によるとまだ籍を入れていないのだという。これからどうしていいかわからないと泣きじゃくる彼女を不憫に思った忠はその子を養子として受け入れマリ子と名付けた。

十年の後、長い患いの末に母・礼子が息を引き取ったが、一周忌の日に孝吉がひょっこりと帰ってきた。何事もなかったように仏壇の前で経を挙げる姿に忠や妹の信子は目を丸くするが、知らない男が突然やってきたことでマリ子は怯えた。そんな彼に向かってお前を許した覚えはないと忠は叱るが、孝吉は自分が苦労をしてきたことをわかってもらいたかった。やがて玄関で怒鳴り声が聞こえ孝吉が様子を見に行くとヤクザ者が居座っていた。どうやら行き違いがあり番頭に因縁をつけたらしい。そこで孝吉が部屋は満員だから他に行って欲しいと凄むと、その迫力に圧されてヤクザ者は逃げ出したのだった。この出来事が気に入られ出席者の人気者となったが、特に忠の友人である警察医の石丸とは意気投合して夜中まで酒を酌み交わした。いい加減にしなさいと信子が止めに入ったことで孝吉は最後の一杯をどんぶり鉢で一気に飲み干したが、突然ぶっ倒れて動かなくなった。石丸の診断で冗談ではなく本当に兄が死んでいることを知ると信子は慌てて忠に報告した。忠は突然のことに青くなり孝吉の傍らに駆け寄ると失意で肩を落とした。警官による聴取などで旅館が大騒ぎとなっている中、赤山と青田という二人の男が孝吉に世話になったと訪ねてきた。二人はその孝吉がついさっき死んだと知って顔を見合わせた。

葬儀屋の配慮で葬式は翌日に行われた。忠が参列者の前で涙ながらに挨拶をする中、突然棺の蓋が開き孝吉が起き上がったのだ。孝吉が生き返った噂は瞬く間に広がり、新聞記者やテレビ局まで押し掛ける騒動にまで発展したのだった。これからは人生のおまけだと考えた孝吉は、生まれ故郷の発展のために新しい事業に打ち込むことに決めた。青田を経理担当に、赤山を土木担当に、そして川口花子を秘書に迎えて東洋観光開発という会社を設立した孝吉は温泉掘削技師の山口大三郎を頼ってひと山当てようと考えた。二宮家の敷地でボーリング工事を行い、行く行くは天然温泉付きの観光ホテルを建てるのだ。ある日、孝吉はその計画を打ち明けたが、忠は由緒ある旅館を壊すことに猛反対した。

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教祖誕生

  • posted at:2020-07-30
  • written by:砂月(すなつき)
きょうそたんじょう
ライトヴィジョン=ポニーキャニオン
配給:東宝
製作年:1993年
公開日:1993年11月20日
監督:天間敏広
製作:鍋島壽夫 田中迪
企画:森昌行 馬越勲
プロデューサー:吉田多喜男 吉田就彦
原作:ビートたけし
脚本:加藤祐司 中田秀子
音楽:藤井尚之
撮影:川上皓市
照明:磯崎英範
録音:宮本久幸
美術:磯田典宏
編集:荒川鎮雄
記録:小山三樹子
装飾:尾関龍生
ヘアーメイク:冨田倫子
衣裳:中山邦夫
スチール:笹田和俊
俳優担当:吉川威史
音響効果:松浦大樹
助監督:北浜雅弘
製作担当:市村智保
プロダクションマネージャー:片岡毅允生
プロデューサー補:岡田和則
主題歌「神様 お願い」桃姫BAND
企画協力:オフィス北野
製作協力:ライトヴィジョン エンタテイメント
出演:萩原聖人 玉置浩二 岸部一徳 ビートたけし 山口美也子
アメリカンビスタ カラー 95分

一人旅をする青年・高山和夫はフェリーの船上で奇妙な集団を見掛けた。その中の一人が老人を「教祖様」と呼んでいたことから、彼はそれが新興宗教団体だとピンときた。いち早く誰かにそのことを話したい和夫はベンチに座る男性に何だかインチキ臭いですねとしゃべりかけると、神様に一番近づけると思ったと予想外の答えが返ってきた。駒村哲治というその男性が教団の信者だとわかると和夫は口を閉ざした。

玉造町駅に着いたが、まだ目的の列車がこないので町を歩いて時間を潰すことにした。するとあの教団・真羅崇神朱雀教が公園で布教活動を行っていたのだ。気になった和夫はその様子を見学することにした。仕切り役の司馬大介が教祖の起こした奇跡について説明していると、ギャラリーの中から車いすの老婆を連れた女性が現れた。彼女は万病を本当に治せるのなら祖母の不自由な右足を治して欲しいと言った。それを聞いた教祖はゆっくりとうなずき傍にきた老婆の膝に念を送った。すると彼女は恐る恐る立ち上がりゆっくりと歩き始めたのだった。タイミングよく受付の駒村が勧誘を始め、他の信者たちが冊子を売り始めると周りにいた人々は蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。

和夫が駅のホームで電車を待っていると教団の人々がやってきた。そこには教祖や信者だけでなく車いすの老婆や付き添いの孫までいたのだ。電車に乗った和夫は向かいの席に座る駒村に疑問をぶつけると、司馬が近づいてきてサクラというわけではなく手伝ってもらっているだけだと言った。詮索しないでと優しく注意されたことで逆に恐怖を感じた和夫はもうそれ以上口出しをしなかったが、何かが心に引っ掛かり同じ駅で降りた。翌日、布教活動を行う場に現れた和夫は今までとは別の視点で見ることにした。これまでと同じように車いすの久栄が立ち上がると勧誘活動を始めるが、一人の老人が教祖の前に歩み寄り私の曲がった腰を治して欲しいと言った。それを聞いた司馬は次の場所へ行かなければならないから時間がないと断った。それでも老人が食い下がるので、司馬は教祖が先程の御手翳しで疲れているから無理だと言い訳した。すると教祖は「やる」と言った。教祖は御手翳しを行い、老人の傍にいた司馬がタイミングを見計らって右脇をつねったのだ。突然の痛みに驚いた老人が背筋を伸ばしたことで偶然治療が成功したのだった。ギャラリーがいなくなると、信者の呉はサクラを使ってまで行うのは老人の立ち上がる力を教祖が引き出したからだと和夫に説明した。久栄も同じような顛末だったことを知った彼は興味本位で教団に同行することに決めた。

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恐怖女子高校 アニマル同級生

  • posted at:2020-02-20
  • written by:砂月(すなつき)
きょうふじょしこうこうあにまるどうきゅうせい
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年12月1日 併映「実録安藤組 襲撃篇」
監督:志村正浩
企画:三村敬三 杉本直幸
脚本:掛札昌裕 中島信昭
撮影:増田敏雄
照明:中山治雄
録音:野津裕男
美術:富田治郎
音楽:鏑木創
編集:神田忠男
助監督:野田和男
記録:牧野淑子
装置:稲田源兵衛
装飾:柴田澄臣
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角良男
演技事務:饗庭益雄
衣裳:豊中健
擬斗:土井淳之祐
進行主任:長岡功
出演:池玲子 田島晴美 織部ゆう子 成瀬正孝 一の瀬レナ
アメリカンビスタ カラー 86分

「自由」が校風の聖和女学院。アメリカ・カリフォルニア州の名門セントグレゴリーカレッジと姉妹校である学院では成績優秀者で選考にパスすれば無償で留学出来る特典があった。ある日、5人の転校生がくることになった。麻生政江、阿部静子、荒木真砂美の3人はいずれも前の学校で問題を起こして見放されたが、親が300万円の入学金を支払ったことで編入となった。小早川一絵は成績優秀者だったが留学制度に魅力を感じ編入を志願した。そして残りの風花亜紀は姿を現さなかった。彼女の姉・美紀は学園切っての成績優秀者でアメリカに留学中だった。その日の夜、4人は入寮することになったが、学園を仕切る「黒バラ会」によって身体検査を強要された。だがそれを黙って見ていられなかったのは遅れてやってきた亜紀だった。番長の紅原竜子は彼女が「口笛の亜紀」だとわかると手下に手を出すなと命じた。竜子は誰よりも亜紀の厄介さを知っているからだった。

5人の転校生は3年B組に入ることになったが、そこは黒バラ会の巣窟だったこともあり亜紀と竜子の対立は激しさを増した。そんな中、体育会会長・深沢嵐子はフェンシング部に入部した亜紀の身体能力に目をつけ正選手として選手権に出場するように勧めた。その夜、学園の関係者が開いたパーティーに亜紀を連れてきた嵐子は理事長の篠原角太郎に紹介した。頑張ってくれたまえと声を掛けられたものの、堅苦しい場に不慣れな亜紀は片隅に置いてあった椅子に座るを一息ついた。すると何処からか口笛が聞こえてきたため音の出処を探した。窓の外にいたのは洗車中の男。嵐子の話によると彼は最近入った篠原のお抱え運転手の梶村政男で、近寄らない方がいいと忠告されたが気になって仕方がなかった。

体育館でフェンシング部が練習を行っていると黒バラ会がやってきた。すると嵐子は練習を途中で切り上げ竜子らを部室へ連れて行った。不審に思った亜紀が中の様子を立ち聞きすると、体育会が黒バラ会を支配下に置き毎月5万円の上納金を搾取しているがわかった。だが亜紀はしばらく見ないふりをすることに決めた。嵐子に絶対的な権力を与えたのは篠原だった。篠原との愛人関係を結んだ嵐子は体育会の援助費増額を要求するなどやりたい放題だった。一方、反撃の機会を狙う竜子は政江らを黒バラ会に誘い込みメンバーを増やしてチャンスを窺っていた。

口笛のメロディーを誰から教わったのか。それが知りたくて亜紀は梶村に会いに行った。何故ならその曲は美紀が彼女のために作ったものだったからだ。それがわかると梶村は美紀とのことは黙し、調べていた体育会と学園の関係についてだけ明かした。

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恐怖女子高校 不良悶絶グループ

  • posted at:2020-02-09
  • written by:砂月(すなつき)
きょうふじょしこうこうふりょうもんぜつぐるーぷ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年9月1日 併映「まむしの兄弟 恐喝三億円」
監督:志村正浩
企画:天尾完次
脚本:関本郁夫 志村正浩 鈴木則文
撮影:赤塚滋
照明:若木得二
録音:堀場一朗
美術:吉村晟
編集:堀池幸三
助監督:俵坂昭康
記録:森村幸子
装置:近藤幸一
装飾:松原邦四郎
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角良男
演技事務:伊駒実麿
衣裳:岩逧保
擬斗:土井淳之祐
進行主任:真沢洋士
挿入歌:「好きではじめた女じゃないが」太田美鈴
挿入歌:「私が今愛し始めた女は」愛川まこと
音楽:荒木一郎
協力:福田レーシングチーム
出演:池玲子 白石襄 叶優子 春日朱美 芹明香
アメリカンビスタ カラー 87分

米軍基地の街にある私立聖愛女子学園の三年A組は良家の女子ばかりで構成されている。学園は彼女らの親による多額の寄付金で運営されていることを理由に特別扱いを行い、一流の政治家夫人や実業家夫人などトップレディーとなるべく特別なエリート教育を施した。信頼とともに権力を与えられたA組は紅ばら会を結成し学園内の風紀を取り締まったが、頭痛の種はD組の存在だった。スクラップコースと呼ばれるD組は商店街で万引きした商品を売り捌いて小遣い稼ぎするようなワルの集団で、紅ばら会番長・西園寺美也の片腕である副番の野中鷹子はいつか粛正したいと考えていた。ある日、父親の仕事の都合で美也が北海道へ転校することになり、新番長を決める選挙が行われることになった。鷹子ともう一人の副番の速水絹枝が候補者として選ばれ、1票差で鷹子が大役を引き継ぐことになった。ところがその夜、市会議員で父親の信孝が泥酔状態で多重事故を起こし即死。助手席に乗っていた妊娠5ヶ月の尾形雪子という女性も即死したことで世間は興味本位に大騒ぎした。雪子は速水グループのトップ・速水勇策の秘書だったからだ。相手家族への償いで野中家は財産を失ったため鷹子は学校を辞めて働こうとしたが、母・紀代子はどんなことがあっても学校だけは卒業しなさいと引き留めた。PTA会長の速水の援助により最低限の暮らしをすることが出来るようになった鷹子だったが、所定の寄付金を2ヶ月分滞納していることを理由に学園長の二階堂寛からD組への編入を通告された。 その結果、クラスメイトからは今までの恨みをリンチという形で仕返しされた。だがメリケンリンダこと山崎リンダとサシの勝負をしたことで二人の間に友情が芽生え、紅ばら会と戦う決意をした。鷹子はスクラップコース全員で恐竜会を結成し、番長としてハヤブサお鷹と名乗ることにした。

仕事のパートナーであるシェパードと密輸で私腹を肥やす、速水は身辺を嗅ぎ回る信孝を事故に見せかけて消した。そのために犠牲になった雪子はただの駒だったのだ。二人の関係を更に強くするために、速水はシェパードが目をつけた紀代子を提供することにした。その一方で番長の座を手に入れたが鷹子の存在が疎ましく感じていた娘の絹枝はジープで鷹子を襲ったが、窮地に陥った彼女を助けたのは通りすがりのダンプの運転手・尾形二郎だった。鷹子の名前を知った二郎は何かの縁を感じていた。それは彼が雪子の弟だったからだ。二郎はこの街が嫌になり東京へ出て働いていたが、姉の死で舞い戻ってきた。そして様々なことを調べて行くうちに事故が実は仕組まれたスキャンダルではないかと考えるようになったのだ。重大な秘密を握ったことでの抹殺。黒幕が誰なのか知りたがる鷹子に、二郎は死んだ二人の名誉のためにこの俺がきっと暴いてやると約束した。

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北の螢

  • posted at:2020-01-20
  • written by:砂月(すなつき)
きたのほたる
東映=俳優座映画放送
配給:東映
製作年:1984年
公開日:1984年9月1日
監督:五社英雄
製作:高岩淡 佐藤正之
企画:矢部恒 佐藤雅夫
プロデューサー:佐藤和之 厨子稔雄 遠藤武志
スーパーバイザー:阿久悠
脚本:高田宏治
撮影:森田富士郎
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
照明:増田悦章
美術:西岡善信 山下謙爾
編集:市田勇
監督補佐:清水彰
助監督:長岡鉦司
装置:野尻裕
装飾:福井啓三
背景:西村三郎
記録:田中美佐江
衣裳:松田孝
美粧・結髪:東和美粧
演技事務:寺内丈夫
刺青:毛利清二
擬斗:土井淳之祐
馬術指導:渡辺隆馬
音楽:佐藤勝
主題歌:「北の螢」森進一
スチール:中山健司
進行主任:山本吉應
協力:福井市江上町 ほくりくみどりの広場 芝政 土佐料理 司 東映京都美術センター 東映俳優センター
出演:仲代達矢 岩下志麻 佐藤浩市 早乙女愛 隆大介
アメリカンビスタ カラー 125分

明治の初頭。徳川幕府から政権を引き継いだ明治新政府は、広大な土地と無尽蔵な資源を埋蔵する北海道の開発なくしては日本の西洋式近代国家への脱皮はありえないことを熟知していた。しかし未開の自然と想像を絶する極寒の気象条件は人間の侵入を拒み、開拓は大幅に遅れた。そのため北海道開拓使長官・黒田清隆は内務卿・伊藤博文と相談の上、全国の囚人たちを北海道へ押送し開拓労働に就かせることにした。明治14年、札幌の北方約30里に当たる石狩川上流に樺戸集治監が開設され、初代典獄は月潟剛史がその任に就いた。

集治監開設から2年の後の明治16年、絶対的な権力を持つ月潟は破獄を許した各務靭良監視長を平看守に降格させた上に減俸、担当看守9名にも減俸を命じた。そして捕縛した逃走囚60人全員を斬首の刑とし、執行を補充採用者として最近赴任してきた元新選組の永倉新八に任せた。集治監には斬首の作法を心得る者がいないことが抜擢の理由だった。だが据物斬の達人である各務が名乗り出た。62号囚は政府要人の暗殺を企てた国事犯で元は幕府の直参だったが、前田看守を殺したことへの決着をつけたいと考えたからだ。月潟はそれを認め、翌日午後3時に第二獄舎囚人全員を立ち合せた上で行うことを命じた。ところが要領を得ない各務は処刑をしくじり、見兼ねた月潟は各務、62号の両者を斬り捨てたのだった。

逃走囚の捜索の際に各務隊が雪中で発見した旅芸人の行き倒れの中に一人だけ息がある者がいた。三味線弾きのその女・ゆうを気に入った月潟は、情婦のすまが女将を務める料理屋に預けることにした。ある日、峰延道路の進捗状況を視察にきた内務省開拓副長官の石倉武昌は月潟に休養を取るように言った。それは集治監の典獄を4年の間任せられることになっていた月潟にとって寝耳に水の出来事だった。だが北海道の行政が一変して札幌、函館、根室の三県に分かれることになり、札幌県知事の有力候補として彼の名前が挙がっていることを知ると話は別だ。ゆうを石倉の寝所に向かわせる代わりに彼女の要望を飲むことにした。それは国事犯として捕えられている男鹿孝之進との再会だった。かつて京の祇園で芸姑をしていたときに匿ったことがきっかけとなったのだ。ところがゆうは続けて赦免を要求してきたため、頭に血が上った月潟は石倉のところへ行くか今すぐ村を出て行くか選べと怒鳴りつけた。

ゆうが指示通りに石倉のもとへ行ったため、月潟は彼女を男鹿と面会させることにした。あなたを赦免にするためならどんなことでもする覚悟できたとゆうが言うと、男鹿は赦免の必要はないと断った。男鹿は明治政府の囚人に対する扱いに抗議するために自ら犠牲となり1300人の凶悪犯の破獄を手助けする覚悟でいたのだ。それを聞いて驚くゆうに、男鹿は月潟を刺せと命じた。

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