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狂気の海

  • posted at:2019-12-20
  • written by:砂月(すなつき)
きょうきのうみ
映画美学校
配給:映画美学校
製作年:2007年
公開日:2008年6月28日
監督:高橋洋
脚本:高橋洋
撮影:山田達也
特技撮影:伊藤淳
照明:高井大樹
録音:臼井勝
音楽:長嶌寛幸
監督補:安里麻里
メイク:三浦杏子
衣装:石毛麻梨子
銃器効果:遊佐和寿
編集:春日和加子
合成:春日和加子
色彩補正:吉村博幸
出演:中原翔子 田口トモロヲ 長宗我部陽子 浦井崇 宮田亜紀
アメリカンビスタ カラー 34分

精神科医からカウンセリングを受ける女性。彼女は時々おかしな夢を見た。それは薄暗い洞窟のような場所に聳えて立つ気味悪い大きな何かの前で大勢の人たちに傅かれているのだ。王女の姿をしたその女には激しい憎悪が感じられたが、それが何によるものか皆目見当がつかなかった。女の中にある恐ろしい感情が自分の中にもあり、それが前世の因縁ではないかと言うと、精神科医は前世を信じますかと尋ねた。女性は首を横に振り、いいえとだけ答えた。続いてそのような感情に襲われるのは夢だけですかと精神科医が尋ねると、女性は以前富士山へ行った時のことを思い出した。富士の裾野に立った彼女は何処か懐かしい場所にきたような気がしたのだった。だが夢の中の女が自分であることだけは絶対に認めたくなかった。

総理大臣・真壁晋太郎は国会での圧倒的な議席数を盾に、日本を「普通の国」とすべく憲法改正に着手しようとしていた。草案がまとまり、これが国会で可決されればいよいよ国民投票となる。これまでに様々な困難が訪れたが、真壁の心に支えとなっているのは彼が親しみを込めて「マッチー」と呼ぶ妻だった。彼女は真壁と最初に会ったときに激しい嫌悪に襲われた。それはまるで毒虫に触れたようだった。それでも結婚に踏み切ったのはこんな愛もあると思ったからだった。ある日、真壁は新聞社が行った世論調査の結果を見て、誘導によって行われたものであり馬鹿げていると言った。それを聞いた夫人は、彼が以前から国民を一つにするものが必要だと言っていたことを思い出し、それは何かと尋ねた。すると真壁は戸惑い、苦し紛れに文化や伝統だと答えた。夫人は明治政府が作り出した一神教は既に衰退し、それに替わったのが「日本国憲法 第九条」だと言った。憲法は平和憲法と呼ばれたときに宗教となり、死んだ。自分たちが何故戦争を始めたのかがわからなくなり、国民は迷信にすがって一つになった。いつまた同じことを繰り返すか不安でならなかったからだ。夫人は愛国心を呷っても薄っぺらなナショナリズムしか生まれずアメリカに利用されるだけだと夫を非難した。そして彼女が自分の正体を明かそうとしたそのとき、首相官邸に現れたのは近藤リサ・ライス特命捜査官だった。同日の午後、ロサンゼルス市内にある寿司バーの視察に訪れていたアメリカ大統領が突然意識を失い市内の病院に運び込まれたが重篤な状態が続いていた。大統領は既に死んでいたが、公式にはまだ発表されておらずFBIは原因の究明に奔走していたのだ。そしてその死に方が異常だったことからアメリカ政府は日本に対して「巫蟲」、つまり「呪殺」の疑惑を抱き「霊的国防」が管轄のライスを官邸に派遣したのだ。巫蟲の使用が毒ガスや生物兵器と同様に国際条約で禁止される法律を先程成立させ、それに則ってライスは捜査を始めたのだった。彼女が気配を感じた方へ歩み寄ると観葉植物の植木鉢へ手を突っ込み何かを取り出した。それは五寸釘が打ちこまれた藁人形だった。

屋台的映画館
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恐怖女子高校 暴行リンチ教室

  • posted at:2019-12-01
  • written by:砂月(すなつき)
きょうふじょしこうこうぼうこうりんちきょうしつ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年3月31日 併映「非情学園 ワル」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
脚本:鴨井達比古
撮影:鈴木重平
照明:若木得二
録音:荒川輝彦
美術:雨森義允
編集:堀池幸三
助監督:志村正浩
記録:梅津泰子
装置:吉岡茂一
装飾:渡辺源三
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角義雄
演技事務:森村英次
衣裳:豊中健
擬斗:三好郁夫
進行主任:伊藤彰将
主題歌:「冷えた世代」須藤リカ
音楽:八木正生
出演:杉本美樹 佐分利聖子 叶優子 太田美鈴 衣麻遼子
アメリカンビスタ カラー 88分

誠実と献身と人間愛を校風に掲げる創立27年目の希望女子学園。不幸にして悪の道に走った非行少女を数多く受け入れて更生させる役割として政界の長老・佐藤茂がこの学園を設立したが、凶悪化する入学者に対し教頭の石原仙太郎が風紀委員会へ絶対的な権力を与えた。風紀委員長の野坂洋子は宮本敏江や不破由美らと校舎を巡回し、秩序を乱す者を処罰した。ある日、風間典子、久保京子、北野レミが編入してきた。三人ともに札付きのワルで、石原は寮での集団生活で規律を徹底的に叩き込めと早々に風紀委員へ引き渡した。

石原は学園の実権を狙う計画を着々と進めていた。教師の三島美智子と婚約をし彼女の実家の資産を手にしようとしていた。そして風紀委員会は兵隊として活動させ、その見返りとして特別奨学金の他に行きつけのバーで自由に飲み食いさせた。間近に迫る創立記念日では理事長の佐藤が次の総選挙を見据えて視察にくることになっていた。そこで石原は事件が起きないよう洋子たちに厳しく言い聞かせた。その夜、彼女たちがバーで飲んでいるとサングラスの男が話し掛けてきた。男は若林哲也というフリーライターで、道代の死について取材していたのだ。学園のことについて嗅ぎ回らない方が身のためだと洋子が凄んだが、それが逆に疑惑を深めたのだった。騒動になる前に割って入ったママの九条孝子は彼をカウンターに誘った。石原がパトロンであることまで調べがついていることがわかると、孝子は学園の周りを嗅ぎ回っても市や警察まで手を回してあるから無駄だと言った。

昼休みに典子たちが校舎の屋上でしゃべっていると2年B組の西田とも子が話し掛けてきた。そして十字架のペンダントを見せると典子の顔色が変わった。風紀委員が行う検査のときに彼女が同じペンダントを持っていることを知ったとも子はいつか渡そうとタイミングを計っていたのだ。それはかつて典子の右腕として鳴らした秋山道代のものだった。風紀委員からいじめられるとも子を助けたことがきっかけとなり道代はマークされた。身の危険を感じた彼女は、自分にもしものことがあった場合、典子にこのペンダントを渡して欲しいと託した。その3日後に道代は命を落としたが、洋子らによる私刑を石原は警察と結託して事故として処理したのだった。それを知らない典子は京子とレミ、そして偶然話を聞き面白がる君原純子と森伸江とともに真相を暴くことにした。

屋台的映画館

機動戦士ガンダム

  • posted at:2019-10-21
  • written by:砂月(すなつき)
きどうせんしがんだむ
日本サンライズ
配給:松竹
製作年:1981年
公開日:1981年3月14日
総監督:富野喜幸
監督:藤原良二
演出協力:貞光紳也 小鹿英吉 横山裕一郎
製作:岸本吉功
企画:山浦栄二 伊藤昌典
プロデューサー:渋江靖夫 岩崎正美
原作:矢立肇 富野喜幸
アニメーションディレクター:安彦良和
脚本:星山博之 荒木芳久 山本優 松崎健一
キャラクターデザイン:安彦良和
メカニカルデザイン:大河原邦男
美術監督:中村光毅
音楽:渡辺岳夫 松山祐士
主題歌:「砂の十字架」やしきたかじん
音響監督:松浦典良
現像:東京現像所
編集:鶴渕友彰 片石文栄
効果:松田昭彦 伊藤修
整音:大塚晴寿 相築晃
録音:整音スタジオ
録音制作:現
音楽出版:指田英司
渉外:野辺忠彦
タイトル:石田功 橋爪朋二
制作助手:又吉智子
制作進行:植田益朗
製作主任:安達登
協力:サンライズ音楽出版
製作協力:名古屋テレビ 創通エージェンシー
協力:講談社
声の出演:古谷徹 鈴置洋孝 飯塚昭三 古川登志夫 鈴木清信
アメリカンビスタ カラー 137分

地球上の人口が増えすぎた宇宙世紀初頭、その解決策として宇宙人工島・スペースコロニーへの移住計画が強く推し進められた。だが半世紀後、宇宙居住者・スペースノイドを軽視する風潮が地球連邦政府にあったことから、人々の不満は蓄積して行った。月の裏側にある地球から最も遠いサイド3では、持論を提唱するジオン・ズム・ダイクンが自治権獲得を訴え、市民からの圧倒的な支持を得て首相に就任。その後、独立を宣言しサイド3共和国を樹立した。これに対し連邦政府は経済制裁を行い、宇宙軍を設立した。一部で暗殺と囁かれるダイクンの死後、側近だったデギン・ソド・ザビが首相に就任すると、ダイクン派を一掃した。権力を握ったデギンは共和制を廃止して君主制に移行すると公王に就任、国名をジオン公国と改め軍備を拡大した。だが妻の死などで精神的なショックを受けたことから政権を長男で総帥のギレン・ザビに譲った。選民思想主義者であるギレンは、ダイクンの思想を先鋭化して国民を扇動し、連邦政府への攻撃準備を進めた。彼は大型戦艦を有する連邦政府の宇宙軍に対抗するため、近年発見された電磁波を妨害するミノフスキー粒子と、人型有人機動兵器・モビルスーツを中心に軍備増強を行った。

0079年1月、ジオン公国は地球連邦政府に対して宣戦を布告し、サイド2で毒ガス兵器を使用した後にブリティッシュ作戦を発動した。これによりサイド2は連邦軍の大本営である南米のジャブローに向けて落下したが、宇宙艦隊の攻撃により大気圏で崩壊した。だが破片が世界各地に散乱し甚大な被害を受けた。ジャブロー壊滅に失敗したギレンはサイド5への攻撃を指示。モビルスーツの攻撃により苦戦を強いられる中、連邦軍きっての名将と呼ばれるレビル将軍が捕虜として連行された。優位に立ったジオン側は降伏勧告である南極条約を持ち掛けたが、調印直前に特殊部隊による救出を受けたレビルがジオンの内情を暴露したことで形勢が逆転した。レビルがモビルスーツの有用性を説いたことで大鑑巨砲主義である連邦軍の方針が見直され、独自のモビルスーツの開発及び量産化、運用方法と専用戦艦の建造等を目的とするV作戦が急ピッチで進められた。

9月18日、サイド7で連邦軍が極秘にモビルスーツと新型戦艦の開発を行っているという情報を掴んだジオン軍のシャア・アズナブル少佐は、部下の3名に偵察を命じた。隊長のデニムはスレンダーを入り口で待機させると、ジーンとともに下界へ降りて行った。その日はペガサス級強襲揚陸艦2番艦・ホワイトベースの入港日であり、完成したモビルスーツを積み込むことになっていた。本来なら通勤時間でにぎやかさを見せている街も、軍からの避難命令が出されていたおかげで閑散としていた。街中の様子が違うことに気付いたデニムは、搬入予定のモビルスーツ用パーツを発見した。すると功を焦ったジーンが暴走し攻撃を始めたのだった。退避カプセルに避難していたアムロ・レイは、室内で感じた震動が攻撃による爆発であることを確信し、避難民を戦艦に乗せるよう父親に頼みに行くことにした。彼の父・テムはV作戦の中心となる技術士官だった。アムロがカプセルを飛び出すと、目の前にはジオン軍のモビルスーツ・ザクが。そのザクが放ったミサイルが、連邦軍の士官が乗った車に当たり大破した。頭を抱えてうずくまるアムロの側には、士官が持っていた極秘ファイル落ちていた。それは連邦軍が開発した新型モビルスーツの操縦マニュアルだった。その頃、戦闘状態の激化により避難民はホワイトベースへ向かっていた。ファイルを小脇に抱えたアムロは父親を見つけ出すと、あなたは人よりもモビルスーツの方が大切なのかと意見した。そこへ彼の姿を見つけた隣家に住むフラウ・ボゥが駆け寄ってきた。そのとき、ミサイルが避難民の列を直撃。フラウは軽症で済んだが、彼女の家族を含む大勢の人たちが命を落とした。事態を重く見たアムロはショックを受けた彼女に港へ行くようにと促すと、自分はモビルスーツのもとへ向かった。アイドリング状態のコクピットに乗り込むとマニュアルに従って起動させたが、なかなか思うように動かなかった。そこに現れたジーンのザクは、アムロの乗ったモビルスーツを葬り去るためにマシンガンの銃口を向けた。

屋台的映画館

恐怖女子高校 女暴力教室

  • posted at:2019-10-17
  • written by:砂月(すなつき)
きょうふじょしこうこうおんなぼうりょくきょうしつ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1972年
公開日:1972年9月29日 併映「やくざと抗争」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
脚本:掛札昌裕 関本郁夫 鈴木則文
撮影:鈴木重平
照明:金子凱美
録音:溝口正義
美術:雨森義允
編集:堀池幸三
助監督:志村正浩
記録:梅津泰子
装置:温井弘司
装飾:山田久司
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角義雄
演技事務:森村英次
衣裳:岩逧保
擬斗:三好郁夫
進行主任:長岡功
主題歌:「女高生哀歌」須藤リカ
音楽:八木正生
出演:杉本美樹 三浦夏子 成瀬正孝 衣麻遼子 女屋実和子
アメリカンビスタ カラー 79分

「賢き妻となり愛しき母となろう」がモットーの聖光女子学園はずべ公のたまり場だった。学園内には女番長の中田迪子が率いる嵐線会と、理事長・郡大作の妾の娘・福本澄子が率いるグループがあり事あるごとに対立していた。ある日、学園に臨時教師として吉岡敬一が赴任してきた。熱血教師の吉岡は前任の工業学校で指導が過ぎたことで飛ばされたのだ。彼が担当することになったのは悪名高い3年4組だった。初めて教壇に立つ吉岡に対して生徒たちは嫌がらせを行い、学校には自分たちのルールがあり教師であってもそれに従ってもらうと迪子は言った。頭に血が上った吉岡が教員室に戻ると、この学校はゴミ箱でありそのゴミを街にこぼれないようにするのが我々の仕事だと先輩教師たちは言っていさめようとした。聖光女子学園は普通の高校で鼻つまみにされた生徒の救済のために設立された学校で、学園理事は私利私欲の徒、そして事なかれ主義の教師ばかりが集まっていたのだ。それを知った吉岡の怒りはくすぶり続けた。

迪子がグレたのは2年前に暗闇の空き地で強姦されたことがきっかけだった。公務員の父・伺郎は体裁ばかりを気にし他の家族も軽蔑の眼差しを向けた。彼女は家庭内で辛いことがあるといつも忌まわしい場所へきて人生を見つめ直すのだ。あの日以来、世の中強姦されるよりもした方が勝ちだと考えるようになり生き方を変えた。それが迪子の新たな出発点だった。

学園に新たな生徒が転校してくることになった。花園女学院の総番長だった尾野崎由紀は乱れ菊のお由紀として知られ、傷害罪で鑑別所送りになっていた。その噂は学園中で持ち切りで、同じクラスとなる迪子たちはヤキを入れてやろうと待ち構えていたが、当のお由紀は姿を現さなかった。すると音楽室から「皆殺しの唄」のメロディーが聞こえてきたため何事かと見に行くと、お由紀がピアノの前に座っていた。迪子とその仲間は挨拶替わりに暴力を振るうがお由紀は抵抗することなく殴られ続けた。拍子抜けした迪子たちは呆れて去って行ったが、その様子を陰で見ていた特待生の岬洋子は慌てて駆け寄りハンカチを差し出した。

友達に恵まれない洋子はお由紀を自宅に招くと身の上話を始めた。彼女はもうすぐ退院をする祖母との二人暮らしで、父親は交通事故死、母親は4年前に他界したことで高校進学を諦めていた。だが聖光女子学園には特待生制度があり、授業料免除の他に奨学金が月5千円もらえることを知って入学したのだ。グループに入れと命じられても抵抗し続けリンチを受けても自分の信念を曲げなかった。そんな彼女の話に自分の境遇を重ねたお由紀は親しみを覚えたのだった。

屋台的映画館

恐竜・怪鳥の伝説

  • posted at:2019-09-25
  • written by:砂月(すなつき)
きょうりゅうかいちょうのでんせつ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年4月29日 併映「ドカベン」「池沢さとしと世界のスーパーカー」
監督:倉田準二
企画:橋本慶一
脚本:伊上勝 松本功 大津一郎
撮影:塩見作治
照明:井上孝二
録音:荒川輝彦
美術:雨森義允
音楽:八木正生
編集:市田勇
監督補佐:依田智臣
助監督:野田和男 河村満和
記録:石田照
装置:稲田源兵衛
装飾:白石義明
擬斗:三好郁夫
進行主任:清水悦夫
美粧:枦川芳昭
結髪:山崎幹子
衣裳:松本俊和
背景:西村三郎
スチール:木村武司
演技事務:西秋節生
和楽:中本敏生
造形・操演:大橋史典
操演協力:大林義満
水中撮影:望月昭伸 山入端キヨ子
船舶電子機器協力:古野電気株式会社
現地協力:足和田村役場 富士西湖民宿組合 常盤工務店 YBS 山梨放送 山梨日日新聞
主題歌:「遠い血の伝説」宮永英一(紫)
出演:渡瀬恒彦 沢野火子 林彰太郎 清島智子 牧冬吉
アメリカンビスタ カラー 92分

1977年、夏。富士山麓の青木ヶ原樹海を彷徨っていた高見弘子が建設工事中の土木作業員によって保護された。彼女は錯乱状態にあり直ちに病院へ収容されたが、「石の卵」や「氷の壁」といった意味不明のうわ言を残し昏睡状態に陥った。メキシコ湾で採れる古い堆積岩の調査目的で旅立つことになっていたユニバーサルストーン社の嘱託職員・芦沢節は、空港ロビーのテレビニュースでそのこと知ると予定をキャンセルした。節は弘子が入院している病院に電話を掛け、身内が到着するまでの繋ぎとしてそこにいた山梨日報の記者から情報を聞き出した。そして弘子が卵の中で大きな眼が動いたと証言していたことがわかると急いで会社に戻り機材の準備を整えたのだった。節の父親は古生物学者で、青木ヶ原で卵の化石を発見していた。その背中を見て育った彼は、同じ場所で卵の化石が発見されたと聞き居ても立っても居られなくなったのだ。

社長の宮脇昌彦から嫌味を言われながらもそれを押し切って現地に向かった節は調査を行うべく洞窟に向かおうとしたのだが、突然巨大な地震に襲われ気を失った。気がつくと彼は小屋の中にいた。そこはかつて節の父親が研究に使っていた場所で、今は父親の親友の椋正平が管理していたのだ。目的が化石探しと聞くと正平は奥に置いてあった箱を引っ張り出し、包みから卵の化石を取り出した。節は樹海の案内を願い出たが、その目的が商取引であることがわかると正平は断った。

翌日、節が足和田村にある西湖キャンプ場に向かうとそこには見知った顔があった。節の恋人の小佐野亜希子が湖底の写真を撮るために助手の園田淳子ときていたのだ。亜希子は世界的な水中写真家で、節と出会ったのは1年前のレマン湖だった。その日の夕方、水上自転車に乗っていたカップルが行方不明になり、捜索していたダイバーが命を落とした。その原因が湖に棲む生物のせいではないかと考えた節は、ジープを飛ばして富士気象科学研究所に向かった。同様の現象は本栖湖でも起きていたからだ。地質学者の坂井秀行は節の父親の友人で、恐竜生存説を訴えていた際に力になろうとした。だが実証することが出来なかったことでその説が受け入れられず、失意の末に命を絶ったのだった。坂井は未知の存在を確認するデータが何もないと前置きしながらも、ベンジャミン・フランクリンがパリ郊外の岩の中から数百万年生きていたガマガエルを発見した事例を挙げて恐竜の生存は単なる夢物語ではないのかもしれないと言った。

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