東宝
配給:東宝
製作年:1970年
公開日:1970年7月4日 併映「悪魔が呼んでいる」
監督:山本迪夫
製作:田中友幸 田中文雄
脚本:小川英 長野洋
撮影:原一民
美術:本多好文
録音:富田実
照明:佐藤幸次郎
音楽:真鍋理一郎
監督助手:渡辺邦彦
編集:岩下広一
合成:三瓶一信
擬闘:宇仁貫三
現像:東京現像所
製作担当者:鈴木正雄
出演:松尾嘉代 中尾彬 小林多岐子 南風洋子 中村敦夫
シネマスコープ カラー 71分
風雨の強い夜、半年間のアメリカでの出張を終え日本に帰って来た佐川和彦は、婚約者・夕子に逢うために蓼科山中の野々村家を訪れたが、彼女の母・志津から半年前に自動車事故で亡くなったことを知らされ愕然とした。その日は今日と同じような嵐で、山道の土砂が崩れ車ごと流されたのだ。志津は和彦を生前のまま手を付けていない夕子の部屋へ連れて行くと、息を引き取る間際まで名前を呼び続けていたことを話した。身動ぎ一つせずに遺影を見つめ続けていた和彦は、信じられないと繰り返した。夜遅いことから屋敷の別室に泊まることになった和彦は、どこからともなく聞こえてくる女性の泣き声が気になり廊下へ出た。それらしき部屋にたどり着いた彼が鍵穴から室内を覗くと、ロッキングチェアを揺らす女性の後ろ姿が見えた。だが思案してもう一度覗くと彼女の姿は消えていたのだ。意を決してドアノブを回すと鍵はかかっておらず、室内にそれらしき人物はいなかった。なぜ隠れるんですかと問うてみても返事はなく、和彦は一番奥にあるクローゼットのドアを開けた。すると中に夕子がいた。驚いて後ずさりしたその時、背後から近付いてきた何者かに殴られ意識を失った。
ソファーで目覚めると和彦の前に志津と使用人の源蔵が立っていた。彼はこの部屋で起きた出来事を志津に信じさせるためにクローゼットを開けたが、そこには夕子の洋服がかけてあるだけだった。訝る和彦に志津は夢をご覧になったのねと言った。そして彼の言葉遮り落ち着いてお休みになってくださいと静かに言った。部屋に戻ってからも納得行かない和彦は眠りにつくことは出来なかった。すると外で鳥が驚いて羽ばたく音が聞こえたため、慌てて窓のカーテンを開けた。そこには月明かりに照らされた夕子が庭を走って行く姿があった。追いかけて庭に出た和彦は彼女が向かった方へ歩を進め、やがて道の傍らには夕子の墓を見つけた。気配を感じて振り向くと、そこには夕子の姿が。和彦は慌てて駆け寄ると、やっぱり生きてたんだねと言って手を取った。手は冷たかった。頭が混乱する和彦は説明を求めたが、彼女が発した言葉に息を飲んだ。「私を殺して」。
夕子に逢いに行ったきり連絡もなく一週間以上戻って来ない和彦のことを心配していたのは、妹の圭子だった。彼女の不安は兄が殺されるというおかしな夢を見たことでさらに増していた。そこで圭子は恋人の高木浩とともに野々村家を訪ねることにしたが、4日前に帰ったという志津の言葉と仕草に疑問を抱いたため、墓参りと称して二人で密談することにした。すると付近に血の付いた和彦のカフスボタンが落ちていたことから、彼が何らかの事件に巻き込まれたのではないかと圭子たちは考えた。その様子を息をひそめて見ていたのは源蔵だった。
屋台的映画館
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